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点字の改訂(7) [点字]

「点字表記法 2018年版」について、続きです。
2019-06-26T09:27:10.jpg
(左側は2001年版、右側は2018年版です。)
 (1)概要などについて / (2)もくじの比較
 (3)第1章の比較 / (4)第2章の比較 パート1
 (5)第2章の比較 パート2 / (6)第2章の比較 パート3

<第3章は何が違う? パート1>

第3章は、「語の区切り目の分かち書きと自立語や固有名詞内部の切れ続き」」です。

分かち書き(マスあけ)は、点字使用者が最も悩むルールだと思います。
ここでも結論を先に書きますと、
『おおむね変更はないが、理論が補強された』
という感じです。

例えば、第3章のはじめに、
・一般的には、日本語の文章を「スペースで区切る」概念は無いが、それはなぜか?
が書かれています。この一文によって、
「なるほど、だから点字独自のルールが必要なのか」
と、納得しやすいのです。
(これまでは、自明ゆえに、書かなかっただけかもしれませんが。)

また、
・「拍(はく)」の定義
・文節による区切りよりも、わかりやすさを優先する方針
なども明記されました。
これまでの基本方針にも、追記がなされています。

以下、詳細に見比べていきましょう。

**********

まず、第3章の「分かち書きと切れ続きのよりどころ」を比較してみます。
「よりどころ」とは、マスあけの根拠、基本方針です。

この「よりどころ」は3つあります。
以下、2001年版と2018年版を上下に並べて比べてみます。
(点字例文の□は、1マスあけるという意味)

よりどころ(1)

 [2001年版:]文の単位の境目を
 [2018年版:]文節の境目を

 [2001も2018も同じ:]明らかにするため、自立語は前を区切り、
  助詞や助動詞は自立語に続けて書き表す。方言の分かち書きも、基本的には

 [2001年版:]同じ原則に従う。
 [2018年版:]同じ方針によって行う。

[解説] 「私は学校へ行く」という文章を例にします。
自立語は「わたし」と「がっこう」と「いく」の3つ、
助詞は「は」と「へ」の2つです。
つまり、よりどころ(1)によって区切ると、
「わたしは □ がっこうへ □ いく」
となります。

よりどころ(2)

 [2001年版:]自立語のうち、長い複合語は、
  内部の意味のまとまりごとに区切るか、つなぎ符類をはさんで続ける。
 [2018年版:]自立語内部の切れ続きの方針は、以下のようにする。
  (以下のアからエは、私がつけた見出しです。原文はもっと長いです。)
  ア.短い複合語や、略語について
  イ.接頭語・接尾語の扱いについて
  ウ.長い複合語について
  エ.2拍以下のまとまりの原則と、例外

[解説] 複合語とは、いくつかの単語が集まったことばです。
例えば「視覚障害者」は、「視覚」と「障害」と「者」が集まっていますね。
ただ、「者」は、それだけでは意味が通じにくいので、「障害」とくっつけたい。
というわけで、「視覚 □ 障害者」と書きます。

また、例えば「桜紅葉(さくらもみじ)」は、
「秋に紅葉した桜の葉っぱのこと」なので、
普通に「さくら □ もみじ」と書くと、桜と紅葉の二種類だと思われてしまいます。
かといって、「さくらもみじ」では長くて読みにくい。
このような時は「さくら _(つなぎ符) もみじ」と書きます。

よりどころ(3)

 [2001年版:]固有名詞の場合も、
 [2018年版:]固有名詞を含む複合語の切れ続きも、

 [2001年版:]長い複合語の場合と同じとする。
 [2018年版:]原則として長い複合語の場合と同じとするが、

 [2001年版:](記載なし)
 [2018年版:]固有名詞内部および固有名詞と普通名詞などの間には、
  多少独特の性質が見られるので、その点に配慮する。

 (なお書き)

 [2001年版:](記載なし)
 [2018年版:]なお、切れ続きは日本語点字独特のものであり、
  「意味のまとまり」の解釈には一定の幅が存在することを考慮し、
  本書で示す切れ続きの幅の範囲で、(中略)適切に用いる必要がある。(後略)

[解説] 固有名詞とは、人物や品物の個体についた名前の事です。
当センターの正式名称を例えにしましょう。
「国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局函館視力障害センター」。
これを、
「国立 □ 障害者 □ リハビリテーション □ センター □ 自立 □ 支援局 □ 函館 □ 視力 □ 障害 □ センター」
と、意味が通じる最小単位で区切って書くのが一般的ですが、
例えば、どうしてもどうしても「自立支援」という熟語を強調したい!となれば、
「… 自立_(つなぎ符)支援局…」と書く事もできます。
これが、「幅」という事でしょう。

**********

どうでしょうか。
『おおむね変更はないが、理論が補強された』
のが、おわかりいただけましたか。

私が気になったのは、「なお」の部分です。
 「解釈って、いろいろだよね。
  だから、この本でも、ルールに幅をもたせたよ。
  きちっと守ってね」
という意味ですよね?
ん?ゆるいのか厳しいのか、解釈に迷います。面白い。

**********

まだ、第3章の第1節に入る前ですが、
基本方針は大切だと思ったので、長めに引用しました。

なお、
以前も書きましたが、この見比べは、あくまても私の視点によるものです。
引用・転用等はご遠慮ください。

次はいよいよ、第3章の中身の見比べです。

ところで。
私はつねづね、日本点字表記法では、いわゆる「学校文法」をベースに、
「自立語」などの用語がよく使われているので(特にこの3章もそうです)、
専門用語が苦手な方も多いんじゃないかなー、と思っていたのですが。
なんと、今回の2018年版は、最後のほうに、用語の解説ページが追加されていました。

本当は、専門用語を使わないで説明するのが良いのかもしれませんが、
凡例が付いて、そこを見ればわかるようにしたのは、良いと思います。

by くろうーろん

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